
保育園で過ごす子どもたちの「今」は、一度しかありません。クラスで流行している言葉や、水遊び、遠足、初めてできたことも、少しずつ記憶の中へ流れていきます。
こうした日々の出来事を、物語として残せるのがAI絵本です。
Googleの生成AI「Gemini」にあるStorybookを使えば、テーマを文章で伝えるだけで、挿絵付きのオリジナル絵本を作れます。専門的な画像編集やデザインの知識は必要ありません。
この記事では、保育園でAI絵本を作る手順や活用方法、利用時の注意点を紹介します。
AI絵本とは?
AI絵本とは、生成AIにテーマや登場人物、絵の雰囲気を伝え、文章と挿絵をまとめて作る絵本です。
市販の絵本との違いは、目の前の子どもたちに合わせて内容を変えられることです。
たとえば、次のような出来事を題材にできます。
- クラスで流行している言葉
- 子どもたちが好きな遊び
- 水遊びや遠足
- 七夕や節分などの季節行事
- 初めて歩いた日や話した言葉
- 卒園までの思い出
自分たちが体験した出来事が登場するため、子どもたちは「自分たちのお話」として楽しめます。日々の体験を振り返るきっかけになるのも、AI絵本の魅力です。
GeminiのStorybookとは?
Storybookは、Googleの生成AI「Gemini」で使える絵本作成機能です。
作りたい内容を文章で伝えるだけで、物語と挿絵をまとめて生成できます。完成後は、「文章を短くしてください」「もっと明るい内容にしてください」と指示して修正することもできます。
GeminiのStorybookで絵本を作る手順
手順1|絵本のテーマを決める
まずは、どんな出来事を絵本にするか決めましょう。普段の保育で見つけた「子どもが夢中になっていること」が、そのまま題材になります。
たとえば、次のようなテーマです。
- 園庭で見つけた虫
- クラスで流行している手遊び
- 水遊びをした日の出来事
- 苦手な食べ物に挑戦した話
- 友だちにおもちゃを貸せた話
- 運動会や遠足の思い出
何気ない一日の中にある、小さな変化を拾ってみましょう。
手順2|GeminiでStorybookを開く
スマートフォンやパソコンでGeminiを開きます。
メニューからGemの一覧を表示し、「Storybook」を選びましょう。
「Gem」とは、用途ごとに用意されたAIアシスタント機能のことです。
目的に合わせて専用のAIを呼び出せると考えるとイメージしやすいでしょう。
手順3|作りたい絵本の内容を入力する
Storybookを開いたら、作りたい絵本の内容を文章で入力します。
次の内容を入れると、イメージに近い絵本を作りやすくなります。
- 対象年齢
- 絵本のテーマ
- 登場させたい言葉や物
- 文章の長さ
- 絵の雰囲気
- 最後に感じてほしいこと
たとえば、2歳児向けなら次のように指示します。
・2歳児向けの絵本を作ってください。
・「わんわん」「ぶーぶー」「ばあ!」という言葉を登場させてください。
・同じ言葉を繰り返し、子どもが一緒に声を出せる内容にしてください。
・文章は短く、やさしい言葉を使ってください。
・絵は明るく、やさしい水彩風にしてください。
・最後は笑顔で終わる内容にしてください。
対象年齢や入れたい言葉を具体的に伝えるほど、仕上がりが安定しやすくなります。
手順4|完成した絵本を確認する
AIが作った絵本は、子どもたちに見せる前に、先生が必ず確認しましょう。
次の点を見ておくと安心です。
- 年齢に合った言葉になっているか
- 怖すぎる場面がないか
- 絵と文章の内容が合っているか
- 不自然な表現が入っていないか
違和感があれば、追加で指示して修正できます。
AIは、一度で完成品を作る道具というより、会話しながら整えていく道具です。
そのまま使えるプロンプト例
水遊びの思い出を絵本にする場合は、次のように指示します。
【プロンプト】
3歳児向けの保育園で読み聞かせる絵本を作成してください。
テーマは「保育園のみんなで水遊びを楽しむ一日」です。
バケツ・じょうろ・水鉄砲を自然に登場させてください。文章は1ページ2文程度で、3歳児にもわかりやすい短い表現にしてください。
「つめたいね」「きもちいいね」を繰り返し使い、リズムよく読める内容にしてください。友だちと水遊びを楽しむ様子を描き、最後はみんなで道具を片づけ、笑顔で終わるストーリーにしてください。
イラストは明るくやさしいクレヨン風で、保育絵本らしい丸みのあるタッチ、
温かみのある色合いと笑顔いっぱいの表情で描いてください。
対象年齢、登場させたいもの、文章量、絵の雰囲気、結末まで伝えると、イメージに近い絵本を作りやすくなります。
保育園でのAI絵本の活用方法
AI絵本は、読み聞かせだけでなく、保育のさまざまな場面で使えます。たとえば、その日の出来事を絵本にして振り返ったり、子どもたちと一緒に物語を考えたりできます。初めて歩いた日や友だちができた日を、成長の記録として残すのもいいでしょう。また、遠足や健康診断などの流れを事前に絵本で見せると、子どもの不安をやわらげることにもつながります。
ただし、安全に関する内容はAIに任せきりにせず、必ず園の正式な手順と照らし合わせて確認してください。
AI絵本づくりでよくあるつまずきと解決策
実際に作ってみると、「思った内容にならない」「ページごとに絵の雰囲気が変わってしまう」ということがあります。原因の多くは、AIへの指示(プロンプト)が曖昧なことです。プロンプトとは、AIに入力する指示文のことを指します。
| つまずき | 原因 | 解決策 |
|---|---|---|
| 内容が思った通りにならない | 対象年齢が伝わっていない | 「2歳児向け」など年齢を明記する |
| 絵の雰囲気がページごとに変わる | 絵柄の指定がない | 「やさしい水彩風」など画風を指定する |
| 話が単調・難しすぎる | 構成の指示がない | 「くり返しを入れて」など構成を伝える |
| 入れたい言葉が出てこない | 単語を指定していない | 使ってほしい言葉をそのまま書き出して伝える |
最初から細かく書こうとする必要はありません。「誰向けか」「どんな内容にしたいか」「どんな雰囲気にしたいか」の3つを意識するだけでも、完成度は大きく変わります。
保育園でAI絵本を使うときの注意点
AI絵本を使うときは、個人情報の扱いに注意しましょう。園児の氏名や住所、健康状態、家庭環境などは入力せず、必要に応じて架空の名前に置き換えます。完成した絵本には、不自然な表現や誤りが含まれることがあるため、子どもたちに見せる前に先生が必ず確認してください。
また、写真の使用範囲や作品の共有方法など、基本的な利用ルールを園内で決めておくと安心です。
まずは、個人情報を使わない題材から始めましょう。
よくある質問
AIが初めてでも作れますか?
作れます。基本的には、作りたい内容を文章で入力するだけです。最初から完璧な指示を書く必要はありません。完成した絵本を見ながら、少しずつ修正しましょう。
スマートフォンでも作れますか?
スマートフォンでも利用できます。ただし、文章や絵を細かく確認する場合は、パソコンのほうが作業しやすいこともあります。
作った絵本を保護者に共有できますか?
園の方針に沿って判断してください。実名や写真、家庭に関する情報が入っている場合は、特に注意が必要です。共有前に、園内で確認しておきましょう。
まとめ|子どもたちの「今」を物語に残そう
GeminiのStorybookを使えば、専門的なデザイン技術がなくても、オリジナル絵本を作れます。子どもたちの日常を読み聞かせに使ったり、成長の記録として残したり、行事の説明に活用したりできます。
ただし、AIに任せきりにしてはいけません。
何を物語にするのかを考え、内容を確認し、子どもたちとの会話につなげるのは先生の役割です。AIは、保育士の代わりではありません。子どもたちの体験を、より豊かに伝えるための道具です。
まずは、クラスで流行している言葉や、今日あった小さな出来事をテーマに、一冊作ってみましょう。何気ない一日も、物語にすると、大切な記録になります。
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